Hosai Arina Essay Course 2006Hosai Arina Essay Course 2006
君へ （静谷 玲）
いつもの病院に来ました。
今日は混んでいるので、私の順番が来るまで近くのファミレスにいることにしました。
このファミレスは、病院に来るたびに、必ずといってよいほど立ち寄った店です。
駅前通りに面したイタリアンのファミレスです。
病院の帰りに、家内と二人でいつも昼食を食べた店です。
今は私の病気が良くなったので、家内は家にいて、私一人で病院に通っています。
二人でこの店に来ていた頃はBGMがちょっとうるさいだけで気になったり、
おばさん達の団体が入ってきたら席を移動したりと、
私はずいぶん神経質でした。
でも、私は今こうやって一人でくつろぎながら
アイスコーヒーを飲んでいます。
今日は小雨がぱらついています。
さっき、店に移動する前に、駅ビルの文房具屋に行って、
原稿用紙を買いました。
買ってきた原稿用紙を持って店に入って、さっそく文章を書いています。
今ではこうやって文章に熱中するまでに良くなった。
けれど、あのころは、私は病気がひどくて本を読むことさえ出来なかった。
あそこの丸いテーブルで、いつも
「良くなってきて良かったね」
と話してくれた君。
私は、今こうやって、とても元気です。
そろそろ病院の順番が来る時分なので、
行ってこようと思います。
普通にファミレスにいる自分の姿が
柱の鏡に映っています。
（静谷 玲）
【作品整理番号】 ３５００９０３
【ペンネーム】: 静谷 玲
【課題】:第３回目の課題 「自由課題」
【題名】:君へ
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