Hosai Arina Essay Course 2006Hosai Arina Essay Course 2006
海辺の出会い （ヒゲ坊主）
気持ちの良い秋の午後、海辺を散歩していたら、前からリヤカーを引いた若い人が来た。
「あれ ホームレスかな？」
横目で通り過ぎるのを待ってリヤカーの後を見ると、なにか旗が立っていた。
え？なに？北海道から沖縄まで空き缶集めて歩いています。
へー 日本列島をほぼ半分歩いて来たのか〜。
すごいな ただ空き缶集めるだけのために！
その情熱と行動力に感心してしまった。とても私には出来ない。
なぜ？それが聞きたくなり、少し迷ったけど追いかけて声をかけた。
旗を指して
「これ本当ですか」
真っ黒に日焼けしたたくましい顔で答えてくれた。
「空き缶集めてどうするんですか」
これが聞きたいのだ。
「タイの足を怪我した人に、空き缶売ったお金で車椅子を買ってあげるんです」
「あーなるほど あっちは地雷がまだ多いからね」
世界は戦争の犠牲者で溢れている。
「そうなんです。１０キロになると買ってくれる所があるからそこでお金に換えます」
急に何かしなければ、という気持ちが湧き上がってきた。
「何か出来る事、ありますか」
「はい、あなたも空き缶集めて送ってください」
もっともだ、それしか出来ない。
彼は言いながらチラシを取り出した。
やる気になった私は嬉しくなって、「頑張ってくださいね」と握手を求めた。
大きな手を放して、またリヤカーを軽々と引いて歩き出した。
なぜか 小さくなるまで見送ってしまった。
（ヒゲ坊主）
【作品整理番号】 ３５００８０１
【ペンネーム】:ヒゲ坊主
【課題】:第１回目の課題 「心があたたかくなったこと」
【題名】:海辺の出会い
宝彩有菜のコメント
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