言葉のもつ力は偉大です。良い言葉は明るい未来を招聘（しょうへい）し、悪い言葉は暗い未来を呼び寄せる、だから言葉には「言霊（ことだま）」があると言う人もいるくらいです。
しかし、言葉に霊魂があるわけではありません。
言葉は、単に思考するための道具です。
でも、なぜ、それがそんなに威力を持つのか、それを説明しましょう。
「頭」は言葉を使って思考しています。思考とは、その大部分は連想です。
例えば、「ある言葉」から、明るい未来や楽しいことを次々に連想すると、脳は開放的になり、エンドルフィンなどの「快感ホルモン」を出します。「快感ホルモン」が出ると脳の働きはさらに活性化されます。
すると、実際に良いアイディアも思いつきやすくなりますし、気分も爽快になります。やる気が出てニコニコになります。
このような展開になる言葉は、良い言葉です。
周りの人もその言葉を聞いて、同じような連想をするなら、同じ良い展開になります。集団としてはプラスの相乗効果になります。
良い言葉の例をあげれば、「ありがとう」や「お陰様で」などの感謝の言葉や、「こうすれば・・・できそうだ」「大丈夫・・・なんとかなる」などの、積極的な行動に繋がる、未来の可能性を信じている言葉です。
逆に、悪い言葉は、不安や恐れ、落胆や失望を連想させ、脳を緊張・萎縮状態にするものです。アドレナリンなどの「不快ホルモン」が出ます。
ですから、考えはさらに暗くなり、否定的になります。実際、気分は惨めになりますし、悪い言葉を聞いた周りの人も同じ仕組みで影響を受けますから、集団ではマイナスの相乗効果になります。
その代表的な例をあげれば、「駄目だ」「つまらない」とかの否定的な言葉や、「・・・だったら良かったのに」などの不可能なことを要求している言葉、「どうせ、・・・できない」「どの道、・・・無理だ」「何々のクセに・・・」などの、可能性や発展性を無視して、ネガティブな結論を押し付ける言葉です。
特徴のあるこれらの悪い言葉を覚えておけば、例えば「それって、どうせ・・・あっ、今、否定的な悪い言葉を使おうとした」と日常で自分の使った言葉をチェックできます。
気がついたら、すぐさま肯定的な良い言葉に言い直せば、被害は最小限で食い止められます。
また、悪い言葉を自分で使っているのに気づけば、それはチャンスでもあるのです。
自分はどうしてそのような言葉を「思いついて、使おうとした」のか、その原因をチェックができます。つまり、自分の心の深いところをチェックできます。
例えば、「ああ、そうか。自分は口ではやりたいと言っているけど、本当はできっこないと深いところでは思っていたんだ」と分かるかもしれません。
もしそうなら、その「否定的な思い」を「肯定的な思い」に変えなければいつまでたっても、うまくいきません。
大丈夫です。ちょっと工夫が必要ですが、上手く変える方法があります。
それは、自分の夢や、やりたいことを具体的なイメージにして、「頭」の外で表現することです。つまり、言葉として口に出したり、絵としてクレヨンで描いたり、未来の損益計算書を作ってみたりします。
その時のコツですが、自分がすでにその夢を実現していると思いながら作業をするとなお一層、効果的です。
また、それを人にも堂々と発表できればさらに強力になります。人の代わりに神社とかに奉納しても同じような効果になります。
つまり、「夢」を自分の中から一旦外に出すということです。
そうすると、自分で描いた「夢」が、もっと具体的な情報として、外部から自分に再びインプットされるわけです。
外部から具体的な情報が入ってくると、横着でケチで心配症な「頭」が、やっと「おお、それならできるかも知れないぞ」とか、「できそうだなぁ」と手ごたえを感じやすくなります。夢をなるべくリアルに見せることによって、上手に自分の「頭」に自己暗示をかけると言ってもいいです。
とにかく、その結果「頭」が解放的になって「快感ホルモン」を出してくれると、やる気がモリモリ湧いてきます。そして、実際にも素晴らしいアイディアを思いついたり、工夫や努力も楽しくできるようになります。
そのような状態になれば、ふと口をついて出てくる言葉も、すべて、肯定的な良い言葉ばかりになってくるという訳です。
夢が実現すると信じている人の使う言葉は、このように明るく楽しい良い言葉ですから、自然に回りの人も楽しい気分になってきます。つまり、プラスの相乗効果になってくるわけです。
すると、どんな夢も実現しないわけはありませんね。
毎日が、楽しくてしかたない、そして、夢は着実に実現していく。
「人生ってこんなに楽しくっていいんだぁ」って嬉しくなりますよ。
（宝彩有菜）
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2004.
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