22 執着について

人生相談・しあわせ質問箱　(2-2) 【執着】
（宝彩有菜）

【頂いた、ご質問】
＜元彼がわすれられない＞

私は現在、精神科に通って、カウンセリングを受けています。
いまの主人と結婚して３年になります。主人と結婚する前、３年間付き合っていた男性と（彼に彼女ができて私がふられる形で）別れ、そのとき今の主人から、交際を申し込まれ結婚するに至りました。

主人はとてもやさしい人で、どんなときにでも私をかばい、助けてくれ、私の言うことを聞いてくれます。外から見たら、きっと主人から愛されている幸せな女性ということになるのだと思います。私自身も主人のことを大切に思っています。

しかし、以前お付き合いしていた男性と別れて以来、私は精神的に安定しなくなってしまいました。医者では甲状腺に問題があるということで、薬も処方されています。また、躁鬱の状態が激しく、なにをやるにも気力が湧きません。誰にも言ってはいませんが、今でもしょっちゅう、別れた彼氏のことを思い出します。
この状況から脱するためにどうしたらよいのでしょうか。
（29歳　女性）

【宝彩有菜の考えるヒント】

そうですね。「元彼と結婚していたら、もっと幸せな人生になったはずなのに」とどうしても未練が残りますね。手に入らなかったものは、実際より、さらに、美しく、貴重に思えてきますから、なかなか、忘れられなくて当然です。

これは、実際の元彼に心が向いているのではなく、元彼をモデルにした「理想のパートナー像」を心の中で、日々、成長させている現象です。
自分の夢の中で成長しているおとぎ話の「王子様」のようなものです。
自分勝手に色々想像したり解釈したり夢見ているわけです。ですから、何年会わなくても色あせるどころかますますステキになっていきます。
特に今の人生にとりたてて重大な懸案や、問題が無い場合は、夢想する時間も多いので、かえってそうなりやすいのです。

しかし、自分の「頭」はこれは夢のようなものだと冷静に観察しているわけではなく、「ああ、あの人に会いたい。一緒に暮らしたい」と執着を繰り返しているはずです。
ですから、自分の人生が、現実の実生活から遊離してしまい、宙に足が浮いたような気分になります。精神的にも参ってきますから、気力も失せてきます。

これの解消は簡単です。

「彼」に死んでもらえばいいのです。
いえ、実際の彼ではなく、心の中に巣食っている自分が仕立て上げた「理想的な彼」です。
ちょっと儀式をしましょう。
元彼の手紙や、写真、その他、関連する一切のものを、なるべく全部、焼却してしまいましょう。火葬です。無理なら水葬でもいいです。
とにかく葬式に出しましょう。
もし、関連のものが無かったら、卒塔婆をつくって川に投げ捨ててもいいです。
とにかく、「頭」の中に巣食っている「王子様」と、「さよなら」しましょう。

現実に告別式のような行動をとると、「頭」も「夢想」を続けることができなくなります。すると、現実の生活に意識が戻ってきますから、ちゃんと地に足がついたような充実感を得られるようになります。
精神的にもすぐに元気になれますよ。

（宝彩有菜）

First-Rev.	雑誌「アネモネ」
Date	2003/6
Main-theme	「アネモネ誌上カウンセリング　第2回(2)」
Sub-theme	「元彼が忘れられない」
Text Vol.	words = 1200
Ref. No.	(044)