04 夫婦は楽しい

「夫婦は楽しい」それが基本。　(宝彩有菜）

（一緒にいる、それが楽しい）

夫婦が一緒にいるのをとがめる人はいません。夫婦とは「一緒にいても誰も文句を言わない関係」と言えます。ですから、ずっと一緒にいたい人同士が夫婦になると、それは目的に叶った素晴らしく都合の良い関係ということになります。

夫婦の基本は「いつも一緒にいる」ことです。ところが単身赴任などで、一時的に分かれて生活することもあります。すると「夫婦の目的は何だろう」と考えてしまいます。そんな難しい話にしなくてもいいのです。
「一緒にいれば楽しい」
それが、そもそものスタートですから、なるべくそういう時間を作り出そうとすることです。

具体的な手順としては、
一、お互いの状況を良く理解する。
二、二人にとって一番よい対策を考える
三、それを協力して実施する
四、お互いの協力を感謝し合う

これだけです。この「試練脱出作業」を実施するために一番大事なことは、「行動」です。行動を起こせば、勇気や才覚も生まれ、温かい愛があふれてきます。
この協同作業自体も、「愛情増進作業」になります。ともかく、夫婦の基本は、「一緒にいて楽しい」それを忘れないようにしましょう。

（生命エネルギーの発電基地）

一緒にいて楽しい理由はいろいろありますが、一つは「生命エネルギーが高まる」ということが挙げられます。簡単に言えば「触れあうと温かくなる」ということです。
好きな人同士が近づくと、実際に体温が少しは高くなりますが、精神的な温度はもっと高くなります。逆に言うと、嫌な人と一緒にいたら精神的な温度は下がりますから、なんだか薄ら寒い感じがします。全然楽しくありません。「生命エネルギー」が下がっているからです。

生きていて嬉しいというのは、この生命エネルギーが活発になるということです。夫婦はそのエネルギーの発電基地です。
高まったエネルギーはお互いを温めるだけでなく、どんどんあふれて家族や地域の人々、人類に対する愛や創作活動などに昇華していきます。
もちろん一人でも創造や愛に向かうことはできます。でも、一輪車より二輪車（自転車）の方が安定し、スピードも出せます。夫婦で手を取り合っていけば、たやすく力強く進むことができるのです。そこが夫婦の素晴らしいところです。

しかし、どんなに仲の良い夫婦でも、たまには喧嘩もします。喧嘩ができるのもまた楽しいことです。別に喧嘩を奨励しているわけではありませんが、夫婦喧嘩もそれなりの意味があります。平行して走っている二艘の舟がぶつかると、お互い離れていく一方ですが、舟同士がロープで結ばれていたら、いったん離れてもロープの伸びきったところで止まり今度はその反動で最初よりさらに近づくように寄ってきます。

夫婦はロープで結ばれた二艘の舟のようなものです。心置きなく喧嘩ができます。
ただ、あまり強く押し合うと、ひっくり返ることがあります。ですから、手加減が必要です。手加減とは相手への思いやりです。喧嘩の最中に相手への思いやりを持てばいいのです。すると喧嘩も素晴らしく楽しいイベントになります。

また、このように言うこともできます。棘のあるもの同士がぶつかり合うと、お互い傷ついて痛い思いをしますが、そのうち棘がとれて丸くなります。でも、棘がとれた傷跡を癒す愛がなければ、単に形がいびつになるだけです。相手を成長させようとしたり、その成長を待ってあげられれば、そこにまた愛が生まれます。

夫婦の喧嘩とは、お互いの愛を引き出し、成長を早める役目があるのだと考えてください。喧嘩も上手に利用すればより素晴らしい夫婦に、より早く到達できます。
夫婦喧嘩は楽しんでしてみましょう。

（宇宙規模の奇跡）

夫婦は、たいてい親になります。「結婚して子供ができた」と言えば、当たり前のように聞こえますが、よくよく考えてみると、新しい人間をこの世に出現させるわけですから、神業です。どんなに科学が発達しても、人間をつくり出すことは不可能です。しかし、夫婦の間ではこの神業が当然のごとくに行われています。
素晴らしいと思いませんか。

赤ちゃんは、宇宙の愛、宇宙のエネルギーが今ここに現れたのだと言えます。二人のもとに宇宙からやって来た未知の新人です。
「親子は肉親だが、夫婦は他人だ」という言いかたもありますが、「夫婦は人間だが、赤ちゃんは宇宙人だ」という見方もできます。
宇宙人におでましいただいた夫婦は、当然、大混乱に突入します。それが、また、たのしいのです。

家族が増えると、違う世代の、違う経験を積んだ人と一緒に暮らすことになります。それぞれ個性が違いますから、考え方、感じ方も違います。
「なるほど、そういう考え方もあるのか」と救われることもありますし、自分が誰かにヒントを与える場合もあります。ものの見方が多彩になります。
一方的になったり、極端に走る危険性がグッと少なくなります。ありがたいことです。

夫婦生活は、一人では得られない楽しいことばかりです。
二人でいれば、怒ったり泣いたり、悔しかったりすることも多いかもしれませんが、人生を一人で送っている人に比べれば、エネルギーはあふれています。
自分の人生をフルに活用しています。そして、それはやっぱり幸福なことです。

宇宙に存在している魂は、一種のエネルギーであり、それ自体では歩くことも、話をすることもできません。その魂が、ひとたび肉体という乗り物を借りて、地球に舞い降りると、泣いたり笑ったり、怒ったり悲しんだり、いろいろなことができるようになります。みなさんは、そうした活動をするために選ばれて、この世に誕生してきたのです。

しかし、肉体は借り物ですから、いつかはかえさなくてはいけません。活動できる期間は有限です。十分、活用しなければ、もったいないではありませんか。

この広い宇宙のなかで、二つの魂が巡り合い、結ばれる。
それが結婚です。
降り立つ場所が離れすぎていたり、時代がかけ離れていたら、永遠に合うことはありません。
果てしなく広がる時間と空間のなかで、この時、この場所という一点で二つの魂が出会う、それは、まさに宇宙規模の奇跡と言えます。

私たちは、その奇跡を素直に受け入れればいいのです。宇宙全部、運命全部、なにもかも肯定して受け入れると、不平も不満も不安もなくなり、ただ感謝しかできなくなります。
そうしてお互いに感謝し合えるようになると、ますます楽しい夫婦になります。

（あなたは、あなたのままで大丈夫）

「夫婦は楽しいなぁ」と言える人は、本当に楽しい人生になります。
人生を楽しく送りたかったらペアを組むのが一番です。
では、どうしたら、楽しいパートナーを見つけることができるでしょうか。
最後にこれから結婚する人のためにその秘訣をお教えしましょう。

それは「自分を守らない」ことです。難しいことではありません。「みんなから好かれたい」とか「馬鹿にされたくない」とか、人に良い印象を持ってもらおうと努力ばかりしていると、疲れます。ちっとも楽しくありません。
自分を守っているからです。自分を守らなければ、緊張が解け、リラックスできます。他人からどう見られているか、考え過ぎなければいいのです。自分を良く見せようとしなければいいのです。

そうなるために、とっておきの方法があります。それは「相手を見る」のです。相手のことばかり考えていたら、自分のことを考える余裕がなくなります。つまり、自分を守らない状態になります。「自分の」をやめて、「相手の」幸せを考えてください。

「自分の幸せを考えると苦しくなります。相手の幸せを考えれば楽しくなります」簡単でしょう。自分の「欲」がなくなると、視野が広がり相手の本当の姿も見えてきます。色眼鏡が外れるからです。すると、あなたの本来の顔も現れます。その顔は、相手の幸せばかり考えているので、優しさにあふれ、キラキラと輝いています。「私は美人じゃない」「俺は学歴がない」、そんな心配は不要です。「あなたはあなたのままで大丈夫」です。あなたが本来の自分を取り戻したとき、すてきな出会いが必ず訪れます。それを確実に準備するのが、宇宙の仕事だからです。

（宝彩有菜）

First-Rev.	雑誌「理想世界」掲載(1997/6)vol.658.
Date	1997/6
Main-theme	「特集・結婚って何？」
Sub-theme	「夫婦は楽しい」それが基本
Text Vol.	w=3400
Ref. No.	(020)