Hosai Arina Essay Course 2005

　　　　おみやげは「メイリャン」　　（おたま）

この夏　わたしは、ツアーで中国・武夷山に旅した。
中国語など、ほとんどわからないわたしだったが、

「メイリャン（美しい）」

という言葉を覚えて帰ってきた。

最初に「メイリャン」という言葉を使ったのは、
朝、ホテルのレストランに朝食を食べに行った時だった。
レストランのドアがさっと開いて、見ると真っ赤なチャイナ服の若く麗しい女性が、私たち夫婦を見て、格別に、にっこりとしている。
昨日、ホテルとなりのおみやげ物屋で、夫の片言の中国語では、話が通じたり通じなかったりで、苦労しているとき、ひょいとのぞきにきて、片言の英語で、なんとか通訳してくれた聡明でやんちゃそうな女の子が、
なんとまぁ、うっすらと化粧して嫣然と微笑んでいる。

彼女はこのレストランで働いていたのだ。
「メイリャン」と昨日彼女から教えてもらった言葉を早速使うことになった。

その日の昼、武夷の繁華街で小一時間　自由時間があった。
ビーズ刺繍の美しい靴が、ショーウインドウに飾られていた。

お店の20歳前後位お姉さんは、「メイリャン」を連発し、誇らしげに薦める。
その靴を値切ろうとしているうちに、お店のお姉さんが、おみやげ物屋に案内してあげると言い始めた。
「ぼられるのかな～」と不安だったが、お姉さんのチャイナ服には、着物美人が刺繍されているし、親日派？とも思いついていくことにした。
何軒か回った後、最後に、雑貨屋に連れて行ってくれた。

うれしいことに、そこには、中国ならではのかわいい携帯のストラップが、格安でいっぱいあった。
案内役のお姉さんも、かわいいものが好きなようで、二人して「メイリャン」を連発し、意気投合し、とうとう、お姉さんは、わたしの手をつかんで、有無を言わさず、お勧めの物のところにひっぱって行く始末。
その手の暖かさが、わたしの、一番のおみやげになった。

「メイリャン」な彼女達を思い出すと、今でも元気が出る。
本当に素敵な旅だった。

【作品整理番号】　３５００３０１
【ペンネーム】:おたま
【課題】:第１回目の課題　「心があたたかくなったこと」
【副題】:おみやげは「メイリャン」

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