　　　　　　　初恋・・・　　（ひばな）

かなわないとあきらめたはずの想いが　かなう時がある・・・

中２のバレンタインデー
もうこれであきらめようと　あの人の家のポストにチョコを入れた。

小学生のとき、同じクラスになってから　ずっと片想い。
同じ中学に進んだけれど、クラスが違うと　見かけることすら　あんまりない。

彼のくつ箱のある玄関のそうじ当番、
靴をはきかえにくるかも・・　すごく　ドキドキ。

帰り道、校庭横の道をゆっくりと歩く。
陸上部　練習してないかな、ちょっとワクワク。

中学生になって３回目のクラス替え。
なんと、彼と同じクラスに！！

いつの頃からか、一緒に登校するようになった。

２人の通学路には　ちっちゃな商店街があって、
焼きたてのパンが好きだの　揚げたてのコロッケはおいしいだの
お花屋さんの前では　どの花が一番好きだの
たわいもないことを　いろいろ話した。

いつもの授業　休み時間　放課後、体育祭　文化祭ｅｔｃ．・・
彼と毎日会える日も終わりに近づき、卒業式になった。
いつもの道を「これで最後だね」なんて話しながら、
２人で　ゆっくり歩いた。

卒業式も終わって、その日は　ホワイトデー
玄関のチャイムがなり、ドアを開けると　彼が立っていた。
後ろ手になにか　かくしている。

「これ・・」と差し出されたのは、
私が一番好きだといった　ピンクのスイートピーとかすみ草の花束だった。

その頃には、もう　２人は別々の高校に進むことが決まっていたけれど・・・

春になると、お花屋さんには　スイートピーが並ぶ。
定番の花だけれど、私にとっては　特別な花。

初恋・・・ （ひばな）

　　　　　　　初恋・・・　　（ひばな）